6 ◯堤
かなめ委員 皆様、おはようございます。性犯罪の根絶に向けた県警察の取り組みについて質問いたします。
委員長、福岡県における性犯罪の認知・検挙状況についての資料要求を事前にお願いしております。お
取り計らいのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
7 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま堤委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
8 ◯樋口 明委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま堤委員から要求がありました資料については提出できますか。
藤野警察本部総務部長。
9
◯藤野警察本部総務部長 直ちに提出いたします。
10 ◯樋口 明委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
11 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
12 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、堤委員、質疑を行ってください。
13 ◯堤
かなめ委員 では、まず、資料について御説明をよろしくお願いいたします。
14
◯藤野警察本部総務部長 資料の説明をいたします。お手元の資料は、福岡県の性犯罪の現状等について、平成二十六年から同三十年までの五年間の数値をお示ししたものであります。性犯罪の認知件数につきましては減少傾向で推移し、昨年は三百八十一件となり、ここ数年、重要犯罪に占める性犯罪の割合は七〇%前後となっております。一方、検挙率は増加傾向で推移し、平成二十八年以降は七〇%以上を維持しております。また、検挙された者のうち、被害者と加害者の面識の有無については、面識ある者による犯行、いわゆる面識犯が昨年は四三%となり、ここ二年間、増加しております。
15 ◯堤
かなめ委員 御説明にありましたように、性犯罪の認知件数が減少傾向にあるということはわかりました。しかし、人口十万人当たりの認知件数である発生率は、残念ながら九年
連続全国ワースト二位となっています。このような不名誉な
ワースト記録を更新し続けていることは極めて残念であると言わざるを得ません。重要犯罪全体も減少傾向にあるということがわかりました。警察の皆さんの御尽力のおかげかと思っております。また、この五年の間、重要犯罪のうち性犯罪は七割前後を占め続けているということもわかりました。しかも、性犯罪は、御案内のように、どの犯罪よりも暗数が多く、表にあらわれる認知件数は氷山の一角であると言われていることを考えますと、実際には重要犯罪に占める性犯罪の割合はもっと大きいのではないかということが推測されます。
そこで、このような現状から考えますと、性犯罪は県民生活を脅かす最大の課題となっているのではないかと思いますが、県警察はどのように認識しておられるのかお聞かせください。
16
◯藤野警察本部総務部長 性犯罪は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害し、その心身に大きな被害を与える許されざる犯罪であると認識しております。県警察におきましては、平成二十四年から県警察の三大重点目標の一つとして性犯罪の抑止を掲げ、予防、検挙及び
被害者支援を柱とした組織一丸となった
性犯罪抑止対策を推進しているところであります。
17 ◯堤
かなめ委員 二〇一二年に性犯罪の抑止が三大重点課題となって七年目となります。この間の県警察の御努力は、性犯罪の検挙率が、先ほど御説明にありましたように高まってきているということにあらわれておりまして、このことは高く評価できるのではないかと思っております。
そこで、お聞きします。この五年間、検挙率が高まってきた要因は何であると考えておられますでしょうか。
18
◯藤野警察本部総務部長 県警察では、関係機関と連携した防犯教室や
広報啓発活動の推進、夜間における警戒活動の強化など、性犯罪の
各種抑止対策を進めているところであります。また、発生時における最大限の人員を投入した迅速、的確な初動捜査により、犯人の捕捉や
防犯カメラ映像等客観証拠の収集を図るとともに、
DNA型鑑定等の科学捜査や
各種捜査支援システムを活用するなどして、犯人の検挙に努めております。この抑止と検挙の両面の取り組みに加え、被害者の希望する性別の警察官による事情聴取、女性警察官による証拠採取、病院への付き添い、
性暴力被害者支援センター福岡との連携による
証拠資料採取など、被害者の精神的な負担を軽減し、被害に遭ったことを相談しやすい環境の整備等の取り組みも進めております。このような性犯罪に対する総合的な取り組みは、性犯罪の認知件数を減少させ、検挙率を向上させていると考えております。
19 ◯堤
かなめ委員 次に、合意の件についてお聞きいたします。
一昨年の改正刑法の施行については、被害者の皆様からの声を反映し、厳罰化が実現したことなどに評価の声が上がる一方で、不十分さを指摘する声もあります。ある民間団体の調査によれば、スウェーデン、ドイツ、英国、カナダ、アメリカ・ニューヨーク州などが、暴行・脅迫要件を撤廃し、明確な合意がなければレイプである、イエスと言わない限り不同意によるレイプであると規定しています。さらに、スペインも昨年、同様の改正を行っています。ところが日本では、親などが加害者の場合を除き、暴行・脅迫がなくても
強制性交等罪に問えるのは被害者が十三歳未満の場合に限っており、十三歳以上の場合には、暴行・脅迫・心神喪失などの厳しい要件が求められています。したがって、合意があったことではなく、合意がなかったことを立証しなければならないのが現状です。そして、このような理由から、特に
性暴力事件で無罪判決が相次いでいます。
今
議会一般質問で我が会派の
新井富美子議員が触れましたように、報道によれば、県内でも
スノーボードサークルの飲み会でテキーラなどを数回一気飲みさせられ、嘔吐して眠り込むなど抵抗できない状態だった二十代女性に乱暴したとして準
強制性交罪に問われた四十代の男性に対し、
福岡地裁久留米支部は、三月十二日、女性が抵抗できない状況であったことは認定したものの、女性が性交に同意していると男性が過信する状況だったとして故意を認めず、無罪を言い渡しております。これに対し検察側は、三月二十六日、判決の認定に承服しがたいとして控訴しています。また、この判決については、専門家からも、女性は抵抗不能となるほど酒に酔っているのに同意のそぶりを示せるわけがなく、論理的に苦しい判決だといった批判の声が上がっています。このような
アルコールや薬物を使った卑劣極まりない事件がふえてきているのではないかと危惧しております。
そこで、できる限り被害直後に
アルコール濃度の測定や薬物の検出ができれば、
アルコールや薬物の影響により抵抗不能であったこと、合意を示すことができなかった状態であったことを、現行法の中でもより明確に立証しやすくなるのではないかと考えますが、県警察の見解をお聞かせください。
20
◯藤野警察本部総務部長 性犯罪の捜査においては、犯行の態様、犯行現場、関係者の所持品等の保存状況、警察による被害認知の時期等、個々の事件の
具体的状況に即して
DNA型試料を含む体液、指紋、足跡、
防犯カメラ映像、目撃者の供述など必要な証拠の採取、収集を行っているところであります。しかし、どのような証拠を採取できるかは個別の事件の具体的な状況に左右され、また、事案の内容によって立証方法はさまざまであるため一概に申し上げることはできませんが、一般論で申し上げますと、被害者からの聴取等により飲酒や薬物の影響による被害が疑われる場合は、
アルコール検知などの捜査を行うほか、薬物検査のために被害者から同意を得た上で尿の提出を受けるなど、認知の初期的段階で迅速、的確な必要な証拠収集に努めております。
21 ◯堤
かなめ委員 迅速、的確に必要な証拠収集に努めていただいているということを、改めて確認させていただきました。
次に、啓発のあり方についてでございます。県警察は、これまで
自己防衛教育──SDE、
性犯罪防止DVDなど性犯罪に関する防犯意識の向上に取り組んでこられました。この間の御努力は一定評価するものではありますが、この防犯意識の向上のための施策が、被害に遭ったのは暗い夜道を一人で歩いていたから、露出の多い服を着ていたから、毅然として断らなかったからなどと誤った
自己責任論をさらに強化することになるのではないかと懸念しています。そうならないためには、チラシ、冊子、動画など啓発資料の中に、もし万一被害に遭ったとしても被害者が悪いのではない、あくまでも悪いのは加害者である、そして、安心して相談できる窓口があるということについて、必ずきちんと入れ込むことが必要だと考えます。また、これらの啓発資料の作成に際しては、
性暴力被害者支援センター福岡の関係者の方など専門家の意見をしっかりと取り入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
22
◯藤野警察本部総務部長 県警察では、性犯罪の被害を未然に防止するため、被害実態の分析に基づく具体的な注意喚起を行っておりますが、それと同時に、悪いのは犯人、でも少しだけ防犯意識を持ち歩こうというフレーズを取り入れた動画を製作するなど、被害者が悪いのではないという
メッセージの発信にも取り組んでおります。また、リーフレットなどの啓発資料において、安心して相談できる窓口についても紹介し、周知を図っているところであります。
今後も性犯罪の抑止に実効ある広報啓発に努めてまいります。その際、被害者への
メッセージや相談窓口の周知についても配意するとともに、啓発資料の作成には有識者の意見を取り入れることも検討していきたいと考えております。
23 ◯堤
かなめ委員 啓発資料の作成には有識者の意見を取り入れることも検討していただけるということで、ぜひ前向きに御検討をお願いできればと思います。性犯罪は大変デリケートで、言葉一つ、表現一つで被害者を傷つけてしまったり、相談する気力を奪われてしまったりする可能性がありますので、有識者の意見は大変重要だと思います。
では最後に、性犯罪の根絶に向けお聞きします。
本県では、本年二月二十一日に福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例、いわゆる
性暴力根絶条例が成立し、三月に公布、一部施行されています。この条例は議員提案によるもので、阿部弘樹前議員を座長とする主要四会派の議員で構成された
福岡県議会議員提案政策条例検討会議において、県警察、
性犯罪被害者支援センター福岡、弁護士会などの関係団体、
パブリックコメントに寄せられた意見を反映しながら検討を重ねてつくられたものです。第三条には、基本理念として、県民全ての力で性暴力を根絶し、被害者も加害者も出さない社会、性暴力を許さず、被害者に寄り添う心を共有する社会をつくる、性暴力及び被害者に関する誤った
自己責任論や偏見を払拭し、その実情の正しい理解を深め、かつ広めることにより、被害者に対する二次
的加害行為もまた根絶しなければならないとうたっています。
そこで、県警察として、この条例を踏まえ、改めて性犯罪の根絶に向けた決意をお願いいたします。
24
◯藤野警察本部総務部長 県警察といたしましては、いわゆる
性暴力根絶条例の基本理念に基づきまして
関係機関等と連携を図り、性暴力を根絶し、被害者も加害者も出さない社会、性暴力を許さず、被害者に寄り添う心を共有する社会を目指し、予防対策、検挙対策、
被害者支援対策を柱に、性犯罪の根絶に向けた活動を強力に推進してまいります。
25 ◯堤
かなめ委員 総務部長、ありがとうございました。
福岡県においては、警察、行政、議会が一体となって、全国に先駆けて性犯罪・性暴力の根絶に大きな一歩を踏み出すことができたように思います。条例の理念を実現するための県警察の今後の一層の取り組みをお願いいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
26 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。
新開昌彦委員。
27
◯新開昌彦委員 公明党の新開昌彦でございます。
通告に従いまして、
ニセ電話詐欺対策について質問させていただきます。
まず委員長に、
ニセ電話詐欺の被害件数、被害額、累計別の推移について資料作成を要求しておりますので、お
取り計らいよろしくお願いします。
28 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま新開委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
29 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま新開委員から要求がありました資料については提出できますか。
藤野警察本部総務部長。
30
◯藤野警察本部総務部長 直ちに提出いたします。
31 ◯樋口 明委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
32 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
33 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、新開委員、質疑を行ってください。
34
◯新開昌彦委員 それでは、簡潔に資料の説明をお願いいたします。
35
◯藤野警察本部総務部長 資料の説明をいたします。
お手元配付の資料につきましては、全国及び福岡県における
ニセ電話詐欺の現状について、
被害類型別統計をとり始めた平成二十三年以降八年間の推移を示したものであります。
平成三十年中における全国の被害状況は、認知件数が一万五千六百四件、被害額が約三百六十三億九千万円となっており、前年と比べ認知件数は千六百三十五件、被害額は約三十億八千万円の減少となっております。本県では、認知件数が三百五十九件、被害額が約六億七千万円となっており、認知件数は二百三十八件、被害額は約四億七千万円の減少となっております。
36
◯新開昌彦委員 福岡県は、特殊詐欺と言わずに、
ニセ電話詐欺と表現をしております。電話が詐欺の窓口であり根源であると。それを喝破してネーミングされたということで、今さらながら評価をするものであります。
しかしながら、
ニセ電話詐欺は暴力団の資金源と言われているものの、なかなか検挙に結びついていないという現実があります。
また、先日、タイで捕まりましたかけ子集団というんでしょうか、この映像なんかを見ますと、悪いことをしたという意識すらない、ゲームを楽しむかのごとくに詐欺の犯罪に手を染めているという印象を持ちます。
ニセ電話詐欺の件数を見てみますと、先ほど部長は前年度に対して減少とおっしゃいました。それは当然そのとおりだと思います、数字を見ると。ただ、昨年だけが減少していて、なべてみますと年々増加傾向にあると私はそう思っております。一件当たりの被害額も二百万円を超えているわけであります。また、本県に目を移しましても、本県が詐欺のターゲットになったのは、二十七年と二十九年、被害件数も被害額も急増しておるわけでありますけれども、全国と同様に増加傾向にあるのは、私は間違いないと思っております。まさに我々の対策をかいくぐって高齢者を狙い撃ちしている。これが
ニセ電話詐欺だと、私は思っております。絶対に許してはいけない、そういう思いで質問させていただきたいと思います。
まず、これまで県警察としてどのような
ニセ電話詐欺対策を行ってきたのか御説明願いたいと思います。
37
◯藤野警察本部総務部長 県警察では、高齢者やその家族に向けた被害に遭わないための広報啓発の強化、
ニセ電話詐欺気づかせ隊を初めとした県民運動による被害阻止活動の推進、だまされないための機器の普及を柱とした抑止対策を展開するとともに、犯行拠点の摘発、犯罪に使用される口座や携帯電話などの犯行ツール対策等を含めた検挙対策を強化するなど、
ニセ電話詐欺撲滅のための諸対策に取り組んでいるところであります。
38
◯新開昌彦委員 総合的な対策ということで承りましたが、ニセ電話の詐欺ということでありますので、電話に特化して質問をしたいと思います。
電話機に対する対策についてどのような対策を打ってこられたのか伺いたいと思います。
39
◯藤野警察本部総務部長 県警察では、平成二十七年に被害防止機器千三百三十七台を導入し、被害に遭うおそれの高い高齢の方に対し機器の貸与事業を開始しております。これまで同機器を設置した方の被害の把握はありません。平成二十八年に被貸与者に対して実施したアンケート調査では、被貸与者の九八%が被害防止に効果がある、機器設置で安心感が得られたと回答しており、機器の効果はあるものと認識しております。
次に、平成三十年に実施した
ニセ電話詐欺被害防止コールセンター事業につきましては、捜査の過程で犯人グループから押収した名簿に登載されている方に電話をかけて注意喚起を実施いたしました。このうち会話による広報ができた件数は約二万三千件、留守番電話に注意事項を吹き込んだ件数が約六千五百件と、被害に遭うおそれの高い多くの名簿登載の方々に直接注意喚起や防犯指導をすることができました。名簿登載者約十四万二千人の中で、本事業による広報の前に被害に遭われた方が十九名であるのに対し、広報実施後に被害に遭われた方は一名で、その割合は約四分の一に減少するなど、本事業につきましての一定の効果が認められると認識しております。
40
◯新開昌彦委員 今、御説明いただきました自動録音装置つき電話、いわゆる被害防止機器というんでしょうか、それと、今、三十年から行っている
ニセ電話詐欺のコールセンターからの注意喚起は、驚くことに十四万件の名簿があるということでございます。十四万件の名簿というのは、先ほどの御説明があったとおり、だまされる可能性の高い押収名簿であるということでありますので、これについての今、効果を聞いたわけでありますが、留守番電話機能つきについては高い効果があったとお示しいただきました。コールセンターの効果について、いまいちよくわからなかったんですが、同等の効果があると認めまして次の質問に行きたいと思っております。
具体的に、その被害防止機器、自動録音装置つきの電話に対する施策とコールセンターの施策の内容、中身についてお示しいただきたいと思います。
41
◯藤野警察本部総務部長 被害防止機器の設置につきましては、県警察が平成二十七年から行っております貸し出し事業のほか、県と共同で県内の各自治体に働きかけを行った結果、本年五月末現在、十自治体で合計五百七十五台の被害防止機器の貸し出し事業が導入されております。また、県警察では被害防止機器の普及を図るため、市販されている被害防止機能を持つ電話機の総称をまっ太フォンと統一し、電話機メーカーや家電販売店等と共同した普及促進活動を展開しております。あわせて、本年度予算案では、機器のさらなる普及を目的に、各警察署に防犯教室等で使用する被害防止機器のデモ機の整備をお願いしているところであります。
コールセンター事業につきましては、押収名簿に登載された方に対して直接電話をかけて注意喚起を行うものであります。押収名簿は犯人グループの間で出回っていたものであり、名簿に登載されている方は被害に遭うリスクが高いと考えられます。このような方に対して直接注意喚起を行うことは高い被害防止効果が期待できるものと認識しており、平成三十年度重点施策事業として開始し、本年度も継続して実施しているところであります。
42
◯新開昌彦委員 留守番電話機能つきのものにつきましては、先ほど御説明があった自治体と県警察が配って設置をしているものを合わせると千九百十二台、約二千台になっておりますけれども、これはなかなか効果はあるんですが、もう既に警察署のほうに貸してくださいと言ってもなかなかないものでございまして、手薄になって、どこにあるのかわからないんですが、本当に補助金のほうもこの三年になりまして、地方自治体のほうにも用意をすることができないという状況になっております。この件についても後ほどまた聞きますが、これからもしっかり考えていただきたいなと思っております。
ニセ電話詐欺の電話をどうやってシャットアウトするかに知恵を絞る必要があろうかと思います。被害防止機器、いわゆる自動録音装置を一台でもふやす努力をすべきと考えておりますが、今、貸し出す電話がないというのが現状でありますけれども、その辺の件、県警察として今後どのようなお考えをお持ちなのかお聞きしたいと思います。
43
◯藤野警察本部総務部長 先ほど申し上げましたとおり、県内の各自治体や事業者等と連携し、被害防止機器の効果を広く周知させることで県民の皆様の自発的な交流等による普及促進に努めているところであります。また、コールセンター事業においても、注意喚起とあわせて被害防止機器の効果を紹介しております。今後もさまざまな
広報啓発活動を通じて、被害防止機器の周知普及に努めてまいります。
44
◯新開昌彦委員 お金がないという答弁だったと思いますが、今後、一つ一つ効果を検証していただいて検討していただきたいと要望しておきたいと思います。
ニセ電話詐欺のこうかつなところというのは、ただ高齢者を狙っているというわけではないと思います。相談相手がなさそうな人、ひとり暮らしであったり、おしゃべりが大変好きな方であったり、アポ電という名前がついているぐらい、手法を使ってそういう情報収集をして、そして狙い撃ちにすると。そこまで今こうかつになってきていると私は思っております。ですから、電話に出たらだまされると、私は思っています。私どもの自治会とかで広報啓発をされておられる方でさえ、ニセ電話がかかってきまして、慌てふためいて危うくだまされるところだったという方もおられます。電話というのは、それほどやはり人を信じ込ませる力があるんだろうなと思っています。
また、先ほどお示しいただきましたまっ太フォンにつきましても、一万円ほどかかります。これを高齢者に買ってくださいというのは、言うのは易し、買うのは難しというか、非常に出費のかさむことでもございますので、一つの提案をしたいと思っています。自宅の電話機の留守番電話機能、目の前にあるボタンをぽんと押すと、ただいま留守にしておりますという
メッセージが流れます。これでも相当効果があるとも聞いています。留守番電話設定が広がらない理由は、留守電にすると失礼ではないかという日本人の優しさというものがあって、留守電にすることをためらっておられる方が大変多いと聞きます。しかしながら、御自分の声でただいま防犯対策のために留守電の設定にしております。すぐに折り返しますので発信音の後にお名前と御要件を入れてくださいと、自分で吹き込めば非常に自分が落ちつくといいますか、そういったことがあるそうです。今年度、地域の広報活動に、まっ太フォンを使って地域の皆さん方に広報活動すると聞いております。その際、今示したように、まっ太フォンを買ってくださいと、そういうことをするのも大事かもしれませんが、今、御自宅にある電話機でもこういったことができますよ、ボタンを押すだけでシャットアウトができるんですよということも紹介をしていただきたい。自宅の電話機を留守電にするという推奨を加えていただきたいと思います。
また同様に、コールセンターの呼びかけにつきましても、先ほど、まっ太フォンも御紹介してあるということでございますけれども、自分の目の前の電話機を留守電に設定する、そういった推奨も行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
45
◯藤野警察本部総務部長 御意見のとおり、被害防止機器を購入しなくても手軽にできる対策として留守番電話機能を活用することは、犯人と直接対応する機会を一旦遮断することで、直接対応した場合と比較して落ちついた対応が可能となる、録音された声を捜査資料に活用することも期待できるといった効果があると考えており、警察庁が広報用として作成した被害防止動画の中でも留守番電話機能の有効性を紹介しております。本県でも、平成三十年度から実施しているコールセンター事業におきまして、留守番電話機能の活用について呼びかけを行っているところであります。今後ともコールセンター事業や被害防止機器の実演による体験型防犯教室、被害防止キャンペーン等の中でも留守番電話機能の活用について呼びかけを行ってまいります。
46
◯新開昌彦委員 ありがとうございます。ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。
最後に。六月二十五日、つい十日ほど前でありますけれども、犯罪対策閣僚会議が開かれまして、オレオレ詐欺等対策プランを策定されました。既にお聞き及びかと思いますけれども、
ニセ電話詐欺対策についての部長の決意をお聞きしたいと思います。
47
◯藤野警察本部総務部長 本年六月二十五日、犯罪対策閣僚会議においてオレオレ詐欺等対策プランが策定されております。このプランにおきましては、被害防止対策の推進、犯行ツール対策の推進、効果的な取り締まり等の推進を柱に、関係行政機関や事業者等と連携した対策を推進していくものとなっております。県警察といたしましては、当該プランの趣旨及びその内容を踏まえ、今後とも抑止と検挙の両面にわたり
ニセ電話詐欺の撲滅に向けた諸対策を強力に推進してまいります。
48
◯新開昌彦委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
49 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
50 ◯樋口 明委員長 ないようですので、以上で、第九款警察費に関する質疑を終わります。
次に、第十款教育費について、順次、説明を求めます。吉田副教育長。
51 ◯吉田教育庁副教育長 それでは、十款教育費のうち教育委員会所管分につきまして、御説明申し上げます。
令和元年度予算に関する説明書の三百四十一ページをお開き願います。一項教育総務費でございます。その主なものは、二目事務局費の説明欄の一番目にあります職員費や、三百四十四ページ、説明欄の一番目にあります三目教職員人事費の教職員等退職手当等でございまして、その総額は、三百四十八ページに飛びまして、計の欄、三百八十六億二千万円余をお願いいたしております。
次に、三百四十九ページをお願いいたします。二項小学校費でございます。七百九十六億五千五百万円余をお願いしております。その内容は、一目教職員費の説明欄にありますとおり職員費でございます。
次に、三百五十ページをお願いいたします。三項中学校費でございます。その主なものは、一目教職員費の説明欄にあります職員費や、三百五十一ページ、二目教育振興費の説明欄の二番目にあります県立中学校の運営費等でございまして、その総額は三百五十二ページ、計の欄、四百六十一億五百万円余をお願いしております。
同じく、三百五十二ページをお願いいたします。四項高等学校費でございます。その主なものは、一目高等学校総務費の説明欄の一番目にあります職員費や、三百五十六ページ、五目学校建設費の説明欄の一番目にあります老朽校舎改築費等でございまして、その総額は、三百五十九ページに飛びまして、計の欄、六百三十一億四千五百万円余をお願いしております。
次に、三百六十ページをお願いいたします。五項特別支援学校費でございます。その主なものは、一目特別支援学校費の説明欄の一番目にあります職員費等でございまして、その総額は、三百六十三ページに飛びまして、計の欄、百九十六億円余をお願いしております。
同じく、三百六十三ページをお願いいたします。六項社会教育費でございます。その主なものは、一目社会教育総務費の説明欄の一番目にあります職員費や、三百七十ページ、七目図書館費の説明欄の一番目にあります図書館運営費等でございまして、その総額は、三百七十一ページ、計の欄、三十九億五千九百万円余をお願いしております。
次に、三百七十二ページをお願いいたします。七項保健体育費でございます。その主なものは、一目保健体育総務費の説明欄の五番目にあります公立学校給食運営費や、三百七十四ページ、三目体育施設費の説明欄の二番目にあります県立体育・スポーツ施設運営費等でございまして、その総額は、三百七十五ページ、計の欄、二十八億七千九百万円余をお願いしております。
以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
52 ◯樋口 明委員長 野田私学振興・青少年育成局長。
53 ◯野田私学振興・青少年育成局長 引き続きまして、十款教育費のうち、私学振興・青少年育成局所管について御説明いたします。
令和元年度予算に関する説明書、三百七十五ページをお願いいたします。八項大学費でございます。その主なものは、一枚おめくりいただきまして、三百七十六ページから三百七十八ページにわたり、右の説明欄に記載しておりますとおり、県設立の三大学に対する運営費交付金及び施設整備費でございます。三百七十八ページをお願いいたします。八項大学費の総額は、計欄に記載しておりますとおり、四十七億六千九百万円余をお願いしております。
次に、九項私立学校費でございます。その主なものは、三百七十九ページの二目私立学校振興対策費の右の説明欄一番上の私立高等学校運営費補助金でございます。これは私立高等学校等の経常的経費に対する補助金でございます。一枚おめくりいただきまして、三百八十ページをお願いいたします。九項私立学校費の総額は、計欄に記載しておりますとおり、四百八十億八千万円余をお願いしております。
次に、十項青少年費でございます。その主なものは、一目青少年育成費の右の説明欄上から二番目の放課後児童クラブ事業費でございます。これは放課後児童クラブを運営する市町村への助成でございます。十項青少年費の総額は、左から二番目の欄に記載しておりますとおり三十二億三千七百万円余をお願いしております。
106 ◯壹岐和郎委員 そういう対応をきちんとされたと。県全体が、基本的にやっぱりそういう考え方が正しいのではないかなと、私は思っております。
今言ったように、南筑後以外は充足していないということなので、ぜひ一九年度末までに全ての中学校区に配置できるのかどうか、再度お伺いいたします。
107 ◯一色教育庁義務教育課長 県教育委員会としては、全中学校区の配置に向けて引き続き必要な予算の確保に努めるとともに、各市町村教育委員会に対して未配置の理由などを伺いながら、全中学校区におけるスクールソーシャルワーカーの設置を促してまいります。
108 ◯壹岐和郎委員 ぜひよろしくお願いします。一校も漏れのないように対応していただきたいと思います。
今述べましたけれども、いじめや不登校児童生徒が増加している中で、スクールソーシャルワーカーが地域に根差し、継続的に支援活動を続けるということが望ましい。そのためには雇用の安定が必要だと考えます。
スクールソーシャルワーカーを長く、十年以上勤めた方のお話をお伺いすることができました。その方は、市町村からの求人というのはあるんですけれども、雇用が安定しない、正規雇用ではない、非常勤だということでなかなか人材が集まりませんと。雇用してもすぐやめてしまうという実態があるんだと。そういう声です。もちろんこれが全てに当てはまるとは思いませんけれども、そういう現場の声がございました。また、もう一つ言われたのは、不登校の対応などでやっぱり長期にわたって一人の方にずっと寄り添う必要があると。そのときに、途中で人がかわらざるを得ないと。そういうことで、非常に困るんだということも言われておりました。
そういう中で、北九州市、また久留米市なんかは、月給制で賞与も支給しています。また、他県も処遇を改善して必要な人材を集めようと努力しています。時給制のみの今の処遇を見直してはどうかと思います。また、本県は、人数をふやすと同時に、今後は自治体間での人材確保競争が始まると思いますので、給与や身分などの待遇の改善が必要だと考えます。県が独自で配置するスクールソーシャルワーカーについては、月給制など雇用の改善に取り組む必要があるのではないかなと思います。また、スクールソーシャルワーカーを雇用する市町村において、本人の希望に合わせて常勤とか非常勤等の勤務体系を選択できる、そういうことが人材確保につながるのではないかと思います。
教育委員会として他の市町村の取り組みを紹介するなどして市町村にアドバイスすべきと考えますが、この二つはどうでしょうか。
109 ◯一色教育庁義務教育課長 スクールソーシャルワーカーの雇用のあり方については、雇用主である市町村教育委員会みずからが検討することになりますが、スクールソーシャルワーカーが十分役割を果たし、子供たちへの支援が充実するための雇用条件の改善は重要であると考えております。
県が配置しておりますスクールソーシャルワーカーの雇用の形態につきましては、国の補助金、また国の雇用の考え方を注視してまいりたいと考えております。
また、県教育委員会としては、雇用のあり方に対する市町村やスクールソーシャルワーカーの意見を聞き取り、常勤、非常勤それぞれの勤務形態のメリット等について市町村に情報提供し、市町村がスクールソーシャルワーカーの確保のために効果的な雇用ができるよう促してまいります。
110 ◯壹岐和郎委員 これも私が最近聞いた話ですけれども、大学四年生で来年卒業する方が精神保健福祉士の資格を取って、行政で子供にかかわる仕事をしたいと思っていろいろと調べてみたんですけれども、全部非正規、全部非常勤ということで、ちょっとこれから、今二十一歳、夢を持ってやっていく仕事なんだけれども、雇用状況が非常に不安定だと。そういう声を私の耳で直接聞きました。
また、これも現場の声なんですけれども、スクールソーシャルワーカー学会所属の方のほうが優遇されているのではないかとか、また、学校現場ではスクールカウンセラーとの仕事の分担がうまくいっていないとの声を聞きました。先ほどスクールカウンセラーの役割を聞いたのも、そういう声があったということでございます。
先ほどの雇用の安定のことも含めて、学校でのスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの運用実態並びに採用の実態、平均勤続期間と年数、期間を調査して、実態をしっかり把握する必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
111 ◯一色教育庁義務教育課長 委員御指摘の実態につきまして、県教育委員会として現時点では聞き及んでおりませんが、まずは市町村教育委員会やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの方々とも意見交換を行いながら実態把握に努めてまいりたいと考えております。
112 ◯壹岐和郎委員 結構、学校の校長先生もなかなか整理しづらいという、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーのですね、そういうこともあるようですので、ぜひ早急に実態を把握されてもらいたいと思います。よろしくお願いします。
最後ですけれども、副教育長にお伺いいたします。
スクールソーシャルワーカーは一人に長く、深くかかわる仕事です。できれば優秀な人材が長く定着する仕組みを構築する必要があると思います。中でも、処遇改善がやっぱり重要だと思います。スクールソーシャルワーカーがその役割を十全に果たせる環境づくりについて、副教育長の決意をお伺いをいたします。
113 ◯畑中茂広副委員長 吉田副教育長。
114 ◯吉田教育庁副教育長 スクールソーシャルワーカーがその役割を十分に発揮するためには、学校、市町村がそのスクールソーシャルワーカーの必要性と役割というものを十分に認識し、その専門性を発揮できる環境づくりを進めることが必要であると思っております。このため、スクールソーシャルワーカーの効果的な活用方法や、関係機関の担当者との円滑な協働を行うための体制づくりについて、スクールソーシャルワーカーの団体などとも連携しながら、また、国のさまざまな動向も注視をしながら、市町村へのより効果的な支援のあり方などにつきまして、今後、検討してまいりたいと考えております。
本県の児童生徒を取り巻く環境の改善を図るためには、福祉面からこれをサポートしていただいておりますスクールソーシャルワーカーの役割は大変重要でございます。県下の学校の配置に向けまして、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
115 ◯壹岐和郎委員 繰り返しになりますけれども、先ほど実態調査をしっかりやっていただきたいということと、市町村の学校現場でのいろいろな悩みとか困り事をしっかり吸い上げていただいて、県教育委員会で対応できるものについては素早く対応していただく。大切な子供たち、また、その家庭の相談役であったりつなぎ役だったりするわけですから、これがうまく機能しないと、不登校になり、またその不登校の生徒が高校に行けない、またそこでひきこもりになる、そういうことにもどんどんつながってくると思うので、大切な仕事です、ぜひ夢を持ってスクールソーシャルワーカーの仕事ができる体制を早く築いていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
116 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。椛島徳博委員。
117 ◯椛島徳博委員 お疲れさまです。緑友会の椛島でございます。通告に従いまして、青少年のインターネット依存について質問をいたします。
スマートフォンの急速な普及によってインターネットは大変身近なものとなっています。知りたい情報がすぐに入手でき、知り合いとの連絡もSNSやメールで簡単にできるなど、もはや私たちの生活には欠かすことのできない機器となっております。ところがその一方で、スマートフォンを使う子供たちが、SNSやオンラインゲームなどに没頭し、やめることができない、いわゆるネット依存が社会問題化しております。きょうびの若者に、あなたにとって一番大事なものは何ですかと尋ねたら、一番大事なものはもちろんスマホですと大半が答えるという、何とも笑えない話もあります。また、ゲームをやめるくらいなら死んだほうがいいと。そういう新聞の記事を見ました。
今議会で公明党の森下団長の代表質問でもあったように、ことし五月、世界保健機関のWHOは、家族・友達との人間関係、仕事・学業に深刻な支障が出るほどにゲームにのめり込み、それが一年程度続く状態をゲーム障がいということで、今回、適用されました。国内では、令和四年一月からこれが適用されると伺っております。世界的にも事は大変深刻な状況になっております。
そこでまず、本県の青少年のインターネットの利用実態はどうなっているのか、スマートフォンの所有率と使用時間についてお答えください。
118 ◯畑中茂広副委員長 木下青少年育成課長。
119 ◯木下青少年育成課長 県におきましては、平成二十九年度に県内の小学四年生と六年生、中学二年生、高校二年生の児童生徒及びその保護者を対象に、抽出による青少年のインターネットの利用の実態調査を実施したところでございます。この調査結果によりますと、スマートフォンの所有率は小学校六年生で三四%、中学校二年生で五九%、高校二年生では九五%となっております。また、平日の平均の使用時間は、小学六年生で二時間二十五分、中学二年生で二時間四十五分、高校二年生では三時間十八分という結果となっております。
120 ◯椛島徳博委員 ところで、ネット依存についての調査は行われているのでしょうか。
121 ◯木下青少年育成課長 先ほど申しました実態調査におきましては、ネット依存についての直接の調査項目はございませんが、スマートフォンを使用している青少年に対しまして、スマートフォンを使用中に経験したことということを尋ねた質問の中に、利用時間に関する回答といたしまして、終わろうと決めていた時間を過ぎても使っていたと回答した青少年が小中高平均で三八%おります。また、スマートフォンを含むパソコンなどインターネットを利用できる機器を所有している青少年に対する同じ質問では、インターネットにのめり込んで勉強に集中できなかったり睡眠不足になったりしたことがあると回答した青少年が、これも平均で一六%という結果が出ております。
122 ◯椛島徳博委員 児童生徒のスマートフォンの長時間利用によって学力の低下が懸念されるところであります。スマートフォンの利用時間と学力の関係について、義務教育課長にお尋ねをいたします。
123 ◯畑中茂広副委員長 一色義務教育課長。
124 ◯一色教育庁義務教育課長 平成二十九年度の全国学力学習状況調査において、携帯電話やスマートフォンの使用時間が一日当たり三十分未満及び持っていないと回答した児童生徒は、教科の正答率が高い傾向にあります。
125 ◯椛島徳博委員 ところで、本県では平成二十六年度から教育委員会、学校、PTA、通信事業者、NPOなどで構成をいたします福岡県青少年インターネット適正利用推進協議会を設置されております。関係機関が連携をし、インターネットの適正利用に向けた取り組みを行っていると伺っておりますけれども、具体的にどのような取り組みを行っているのかお答えください。
126 ◯木下青少年育成課長 この協議会におきましては、各団体の取り組みについての情報交換、それから今後取り組むべき施策等について意見交換を行いながら、青少年のインターネットの適正利用のための取り組みを行っているところでございます。その他、生徒に対する取り組みといたしまして、中学生、高校生がみずからの利用状況をもとに、インターネット利用のルールやマナーについて生徒同士で議論し、発表を行うフォーラムを開催しております。
また、保護者に対する取り組みといたしましては、ネット問題をテーマに地域で開催されるPTA等の学習会への専門講師の派遣事業などに取り組んでおります。
さらに、教員を対象とした取り組みといたしまして、中学校における教員の校内研修の場に情報モラル学習の専門講師を派遣し、インターネットのトラブル事例や情報モラル学習における生徒指導のポイント解説を行う研修を実施しているところでございます。
127 ◯椛島徳博委員 同じく、教育委員会の取り組みについて伺います。
128 ◯一色教育庁義務教育課長 教育委員会の取り組みといたしましては、道徳や技術の教科等の学習を通して児童生徒の情報モラルや情報技術等を適切に扱う力を身につけさせるとともに、家庭におけるインターネット等の適正利用を促進したり、PTAと連携しながら家庭におけるルールづくりやフィルタリングソフトの活用等を啓発しております。さらに、外部講師を派遣して保護者が児童生徒とともに規範意識について学ぶ学習会を全ての公立学校において実施しており、その中でインターネットの適正利用を学習テーマとして設定している学校もございます。
129 ◯椛島徳博委員 それぞれに取り組んでいただいているということがわかりました。
そこで、その事業の成果についてそれぞれにお答えください。
130 ◯木下青少年育成課長 ことし一月に開催をいたしました中高生を対象としたフォーラムにおきましては、中高生四十二名が参加し、心身の健康を損なわずにスマホを活用するという意味のデジタルウェルビーイングをテーマに、生徒同士で活発な話し合いが行われました。フォーラム終了後の参加者のアンケートにおきましては、とても満足、満足の回答が九割を超えますとともに、今後の生徒自身の取り組みについて、時間が管理できるアプリを使ってみたい、自分ルールをつくってよりよいネットの使い方をしていきたい、ネットを使い過ぎないようにしたい、といった感想があったところでございます。
また、PTA等が実施いたします地域の学習会等への講師派遣事業につきましては、平成三十年度は三十九回の派遣で、総参加者数は二千百六十二名となっております。この事業の五年間の延べ派遣回数は二百五十七回、延べ参加者数は一万四千三百七十二名となっているところでございます。
また、中学校の教員研修の場に専門講師を派遣する事業につきましては、昨年度、平成三十年度から新たに実施をしたものでございます。平成三十年度の実績としましては、六十一校に派遣を行ったところでございます。
131 ◯一色教育庁義務教育課長 インターネットの適正利用について学ぶ学習会を実施した学校の実施率は、平成三十年度には小学校の第三学年が九一・四%、第四学年以上、また中学校、高等学校の全ての学年においては一〇〇%となっております。その際、学習会で専門家を外部講師として活用した公立小中学校の九九・二%が、講話内容について非常によかったと回答しております。
132 ◯椛島徳博委員 先ほど青少年育成課長より、スマートフォンの所有率について、小学六年生で三四%、中学二年生で五九%とのお答えがありました。生徒児童のスマートフォンの普及率は今後さらに上昇していくだろうと思われます。また、インターネットの利用時間についても増加していくことが当然予想されるわけですけれども、このような状況に対して今後どのように取り組んでいくのかについてお尋ねをします。
133 ◯木下青少年育成課長 インターネットには、青少年にとりまして有害な情報が氾濫しているほか、誹謗中傷、いじめ、インターネットを介した犯罪被害等の問題も発生をしております。これに加えまして、インターネットの長時間利用に伴う健康や学業への影響につきましても社会的な問題となってきております。そうしたことを踏まえ、ことし五月に開催いたしました青少年インターネット適正利用推進協議会におきましては、ゲーム依存の現状や日常生活の弊害につきまして、専門医を招き御講演をいただいたところでございます。引き続き関係機関と連携を図りながら、青少年がインターネットを適切に利用するよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
134 ◯椛島徳博委員 取り組みについては、よくわかりました。
最後に、青少年のインターネットの適正利用、とりわけネット依存の問題については、今後、重点的な取り組みが必要だと考えます。そこで、私学振興・青少年育成局長に決意をお尋ねしたいと思います。
135 ◯畑中茂広副委員長 野田私学振興・青少年育成局長。
136 ◯野田私学振興・青少年育成局長 青少年のインターネットの長時間利用は、学習時間や読書時間、睡眠時間が減るなど、青少年の健全育成に大きな影響を及ぼす課題であると認識をしております。こうしたことから、昨年三月に策定いたしました福岡県青少年健全育成総合計画青少年プランにも、施策の方向の一つにインターネットの適正利用の推進を掲げまして、先ほど課長からお答えしましたとおり、生徒に対する情報モラルの教育、保護者への啓発活動、教員を対象とする研修などの事業に取り組んでいるところでございます。
委員御指摘のネット依存の問題でございますが、これはやはりスマートフォンやタブレット端末の普及に伴う青少年のインターネットの長時間利用が増加しているといった問題がございますので、インターネットの適正利用を家庭、学校、行政、PTAなどの関係機関が連携して取り組みをさらに進める必要があると考えております。今後とも青少年のインターネットの適正利用につきまして、教育委員会やPTAと情報共有を行い、連携しながらしっかりと取り組んでまいります。
137 ◯椛島徳博委員 しっかり対応していただきたいと思います。
そこで、ネット依存対策の先進国であると言われております韓国では、ネット依存症をネット中毒と呼んでいるそうです。二〇〇四年から政府機関がその対策に乗り出しております。さらに二〇一一年には、十六歳未満の利用を、午前零時から午前六時までオンラインゲームを禁じたシャットダウン制度を導入しております。またその翌年には、十八歳未満の利用制限を設けているようです。さらには、小学四年、中学一年、高校一年の全生徒に対し、国がインターネット中毒自己評価スケール、恐らく調査だと思います、この調査を実施することでネット依存を把握し、深刻な状況の子供に対しては治療目的で十一泊十二日の、これは恐らくスマホとかインターネットとかゲームとかも一切使わない、そういったレスキューキャンプを実施しているというお話です。一年後の追跡調査によれば、七割の子供たちが、実は良好な状態で生活に戻っているというお話がございました。
このように、韓国に比べると日本の対応は随分おくれているように思います。ただ、今回冒頭申し上げましたWHOでゲーム障がいが疾病として分類をされ、やっと国が具体的に調査を始めるということで、本県としてもぜひこの国の動きに合わせてしっかりと取り組んでいただきたいと思っているところです。
未来を担う子供たちには、やはりバーチャルな世界に没頭するのではなくて、外で遊び、読書にいそしみ、そして、家に走って帰ってきたら腹減ったと福岡県産米のおにぎりを食べてもらいたいと、私は思っております。ぜひ関係部局の連携強化をひとつしっかりお願いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
138 ◯畑中茂広副委員長 この際しばらく休憩します。再開は午後二時をめどに放送をもってお知らせします。
午 後 零 時 五 十 三 分 休 憩
午 後 二 時 零 分 再 開
139 ◯樋口 明委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
第十款教育費について、ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。
140 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。福岡教育大学における教員養成についてと、特別支援学校の建設について伺います。
福岡教育大学は、本県の基幹的教員養成大学で、多くの卒業生が本県教育を支えています。この大学で二〇一六年度以降、小学校と中学校の免許が同時に取りにくいカリキュラム変更が行われており、西日本新聞の一面で、小中教員免許同時取得だめとの見出しで、学生が困っている状況の報道がありました。記事には、教員養成課程を持つ国公立大学は計四十四校、文部科学省の担当者は、福教大のような取り組みは聞いたことがないと記述されております。私自身も教員養成大学で学びましたが、その内容に違和感を持たざるを得ません。福教大はまた、二〇一三年から一四年にかけて行われたとされる学長による不当労働行為が、ことし一月、最高裁で確定したとも報道されております。福教大は一体どうなっているのかと市民集会も開かれました。大学の自治は守られなければならないと承知をしておりますけれども、福教大の教育のあり方は本県教育にも大きな影響があると考え、質問をいたします。
城戸教育長は、福教大の学長選考委員、経営協議会委員も務めておられます。福教大の教育のあり方は、本県教育に大きな影響があると考えますが、見解を伺います。
141 ◯樋口 明委員長 松永教職員課長。
142 ◯松永教育庁教職員課長 優秀な教員を育成し、人材を育成するという点におきまして、福岡教育大学など教員養成大学の役割は大きいと思っております。しかしながら、福岡教育大学という個別の大学の教育カリキュラム及び学内の事案に対しまして、県教育委員会としては見解を述べる立場にはございません。
143 ◯高瀬菜穂子委員 県教育委員会としては見解を述べる立場にないとのことですが、しかしながら、大学の教育内容は教員養成と直結しております。したがって本県教育に影響があることは間違いないと思います。
新聞には、小中学校両方の免許を取りたい、取れないのなら入学前にきちんと説明してほしかった、小学校と一緒に中学校の国語も取りたかったけれども、無理だと言われて諦めましたとの声が紹介されています。小学校課程の学生は、教科の専門性よりも、クラスをまとめる力、地域や保護者との連携力を持つ教員が求められているとの考えから、教科を深める授業が少なく、そのため中学校、高校の免許が取りにくくなっていると聞きました。小学校から中学の免許を取るためにはあらかじめテストに合格する必要があり、その上必要な単位を取得することがカリキュラムの構成上困難となっているそうです。学生のアンケートには、以前のようにさまざまな種類の免許を取得しやすいカリキュラムのほうが現代の教育に合っているとか、カリキュラムが変わって中学校免許が取りにくい、したい勉強ができない、専修性がなくなり全教科に偏りなく知識をつけようとしたためか、どれも専門性に欠けていると思うとの意見が多く見られます。また、教員採用率を上げるために採用数の多い小学校免許のみの教員をふやすようにしているのではないかとの疑問や、学生の可能性を狭めないでほしいなどの声もありました。このように、カリキュラムの変更は学生の要望から行われたものではなく、また、導入に当たって教職員からは反対の声が大きかったということであります。トップダウンで免許を取りにくくするカリキュラム改定を行ったことに、大変な違和感と疑問を感じるわけです。
福岡県は、教員採用試験において英語の免許を取得している場合に一割加点としました。同様の採用試験は各地で見られます。そうした中、大分大学は複数免許を卒業の要件にするとの報道もありました。小学校での英語教育が導入され、また、小学校での教科担任制も打ち出される中で、複数の免許取得を望む学生がいるのは当然ではないかと思いますし、何よりも子供たちの学力保障のためには教科の専門性は欠くことができません。大学が教員免許取得の幅を狭めていることについては、どう考えられますでしょうか。改善を求めるべきではないでしょうか。
144 ◯松永教育庁教職員課長 教員養成段階におきまして、例えば小学校の免許に加えまして中学校の免許状を取得することは、学校種間の接続を見通して指導する力、あるいは幅広い理解に基づいた総合的な指導力の向上につながるとも考えております。しかし一方で、特定の教科に偏らず小学校教員として必要な資質・能力をバランスよく確実に身につけさせることは、必要不可欠な重要な要素でもあると考えております。
いずれにしましても、個々の大学がどのようなカリキュラムを編成するのか、あるいはどのような教育内容とするのかについては、大学が自主的、主体的に決定すべきものと考えております。
145 ◯高瀬菜穂子委員 二つの方向から両方ともの資質が必要だというお話だったと思います。
県内では、評価は別として小中一貫校なども進められています。また、教員不足で臨時的な免許で対応している実態も広くあります。教科学習を深め、意欲ある学生の免許取得を保障するよう求めていただきたいと、私は考えております。
次の質問ですが、福教大では二〇一三年から一四年にかけて学長による労働組合に対する不当労働行為があり、問題となりました。組合員のビラ配布行為を非難し、これを理由に教授会から研究科長に選出された教授の任命を拒否するなど、組合員への差別的な取り扱いを行ったことが、福岡県地方労働委員会に訴えられました。地労委では、ビラ配布は正当な組合活動、学長の発言及びウエブサイト掲載は、組合員の組合活動を萎縮させ、組合の弱体化を図るものなどとして救済命令が下りました。しかし、学長側は受け入れず、中央労働委員会でも争われ、やはり救済命令が下されました。その後、これを引き継いだ新学長は、中労委決定を不服として行政訴訟を提起し、地裁、高裁でも敗訴、さらに、ことし一月二十九日、最高裁判所は学長側の上告を棄却しました。不当労働行為と人権侵害行為という法令違反が五回も認定されたことになります。この間、五年にもわたってこの問題は解決できないままでした。
最高裁での不当労働行為認定がされても、学長側は謝罪もしていないとのことです。国立大学法人法で、学長は人格が高潔で学識がすぐれ、かつ大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから選考されるとありますが、人権侵害と不当労働行為を行う人物が、人権教育を行う教員養成大学の学長として、その後は副学長として経営トップに居続けたことに驚きを隠せません。
カリキュラムの改訂、学部の改組もトップダウンで行われ、突然、公式記録をとることのできる五十メートルプールを二十五メートルに埋め立てるなどということまで起こっています。小学校のプールは二十五メートルだからというのが理由だそうです。とても民主的とは言えない運営ではないでしょうか。大学の自治が脅かされているとも言えるのではないかと思います。
これは一大学の問題ではなく、本県教育にもかかわる問題であると考えます。最高裁が認定した不当労働行為が県内教員養成大学で起こったことについての御所見を伺います。
また、教育長は、学長選考委員、経営協議会委員として物を言う立場にあったと思いますが、どのような対応をしてこられたのか、また、県教委として大学と意見交換をするなどの機会はなかったのか、県教委としての対応も明らかにしてください。
146 ◯松永教育庁教職員課長 不当労働行為はあってはならないものであります。しかし、福岡教育大学における事案につきまして、県教育委員会としては事実詳細を承知しておりませんで、意見を述べることは困難でございます。また、個別具体の大学運営に対しても対応する立場にはないと考えております。
147 ◯高瀬菜穂子委員 御答弁にありましたように、不当労働行為はあってはならないと思います。特に教員養成大学ではそうだと思います。
今、福岡教育大学の正常化を求める署名というものが取り組まれており、過半数の教員の皆さんが署名をされたということです。求めているのは、不当労働行為のため物心両面で損失をこうむった教授、教授会、教職員組合等への前学長、現学長による直接謝罪、九州の基幹教育大学としての社会的、道義的責任を社会に示すため、本件に係る責任の所在を明確にし、大学執行部の刷新を行うこと、東京地裁、高裁の判決内容が示すことを真摯に受けとめ、労使対等の対話のある民主的な大学運営体制を構築することであります。当然の要求ではないかと思います。
県としても大学の正常化のために働きかけていただきたいと考えますが、どうでしょうか。
148 ◯松永教育庁教職員課長 個別の大学の労使関係、あるいは具体の組織体制につきまして教育委員会に指導権限はなく、大学の自主性、自立性の観点からも働きかけを行うことは困難であると思っております。
149 ◯高瀬菜穂子委員 県としての動きはなかなかできないということですよね。しかし、この大学の今のあり方というのは、本当に心配なところがあります。
安倍政権は、学長の権限を強化する法改正を行いましたが、リーダーシップが独裁につながる危険性を本件は示していると思います。二〇一三年十一月十九日の中央教育審議会の組織運営部会において、大学のガバナンス改革のあり方に関する議論がされています。その中である委員から、学長のリーダーシップを強くすると大学がよくなるという保障はないと思っております、小さな大学で学長がワンマンで、間違ったときに非常に悲惨な結果になることがございます、これ以上権限を強めるような法令改正をすることは非常に危険性を招く可能性もある、いわゆる学長の暴走をとめるガバナンスがなくなるということなのですとの意見が出されています。また、ほかの委員から、学長が権限を持つと暴走するリスクがあるとした上で、学長選考委員会がこの学長はおかしい、暴走に限らず他の運営についてもおかしいと思ったら罷免することができるということが防波堤になっているということも述べています。学長に権限を集中する大学法人法の危険性が議論され、その防波堤は学長選考委員会だと指摘をしています。そうであるならば、選考委員になっている城戸教育長の責任は重大であります。県教育長としてではなく一有識者として選考委員になっており、県教育長としての本議会の答弁は難しいとのことでしたが、その責任の重大性について厳しく指摘をしておきます。
次に、特別支援学校建設問題について伺います。
福岡教育大学の敷地内に県立特別支援学校を建設する計画が発表されました。県立特別支援学校の増設は、我が党も求めてきたことであり歓迎するものですが、今回の建設については、県立学校であるにもかかわらず、地元自治体が造成に係る費用を負担すると聞いています。大変驚いているのですが、県立特別支援学校なのですから、当然、県が全て負担すべきではないでしょうか、見解を伺います。
150 ◯樋口 明委員長 井手特別支援教育課長。
151 ◯井手教育庁特別支援教育課長 今回の誘致を受けての学校設置は、県としておおむね令和七年度までに福岡地区に三校新設するという喫緊の課題を抱えている中、学校の設置場所にふさわしい土地を用意いただくものでありまして、特別支援教育の充実に向けた地元自治体と県双方の思いが合致した上に成り立ったものでございます。地元自治体が土地を用意するためにどのような負担をするかは自治体において自主的に判断されるものでございまして、県が学校設置の条件にしたり強制したりしているものではありませんので、問題はないものと考えております。
152 ◯高瀬菜穂子委員 問題はないとの認識のようですが、地元の議会議事録を見ますと、どうすれば誘致できるかなどの議論がされており、誘致に当たって地元自治体が負担をするとなれば、財政力のある自治体が有利とも見られかねません。県は、県全体を俯瞰して必要な場所、最適な場所を選定すべきで、自治体間の公平性を保つためにも県が費用負担をすべきだと考えます。糸島でも同様のことが起こっているとのことですが、こうしたやり方は改めるべきだということを強調しておきます。
また、今回、PFI手法の検討を行っていると聞きました。県の方針によるものとのことですが、公教育の学校建設及び施設管理にPFI手法はなじまないと考えます。全国で学校建設をPFIで行った事例はありますか。特別支援学校についてはどうでしょうか。あわせて、PFI検証に係る費用はどのぐらいと見込んでいますか、お答えください。
153 ◯樋口 明委員長 池松施設課長。
154 ◯池松教育庁施設課長 平成十一年のいわゆるPFI法施行から昨年度までの二十年間に、PFIにより事業化された校舎等の学校施設整備事業は、全国で四十七事業ございますが、特別支援学校で事業化された例はありません。
また、PFI導入可能性調査につきましては、二校で千五百万円程度を見込んでおります。
155 ◯高瀬菜穂子委員 PFI推進の方針が二〇一七年に出されてから、県全体で検証対象になったのはこの二つの特別支援学校を含め六件ということで、PFI手法の採用による建設はまだないとのことでした。
どうしても、利益を出すためのコストカットが必要となるPFIは、公教育、特に特別な配慮を要する特別支援学校にはなじまないと考えます。その点もぜひ考慮していただきたいと思います。
一千五百万といえば、検証だけでもかなりのお金がかかりますので、改善を求めたいなと思います。
最後に、本日私が提起いたしました福岡教育大学の一連の問題について、副教育長に御所見を伺いたいと思います。大学の問題ではありますけれども、本県教育に重大な影響があるとの立場から問題提起させていただきました。よろしくお願いいたします。
156 ◯樋口 明委員長 吉田副教育長。
157 ◯吉田教育庁副教育長 学校現場におけるさまざまな課題に対応していくためには、幅広い視野を持って、そして、実践的指導力のある人材を確保するということが必要でございまして、そのためには養成機関である大学との連携は重要なことでございます。このため、福岡教育大学に限らず、教員養成を行う大学に対しましては、本県の求める教師像について説明に努めてきたというところでございます。ただし、先ほど来申し上げておりますように、個別の大学内の事案につきましては、指揮監督関係もなく、また大学の自主性、自立性の尊重という観点からも感想を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思っております。
158 ◯高瀬菜穂子委員 お答えいただきましたが、教育委員会として教員養成大学との連携はいずれにしても重要だと思います。大学の自主性、自立性を尊重しつつ、注視していただくよう要望しまして質問を終わります。(拍手)
159 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。塩川秀敏委員。
160 ◯塩川秀敏委員 自民党県議団の塩川秀敏でございます。通告に従いまして、学校を支援する体制づくりについてただしたいと思います。教育委員会は、ここ十年以上にわたり学校を支援する体制づくりについて取り組んできたにもかかわらず、その成果は十分ではないと、私は認識をしております。
早速、質問に入ります。
今、教育委員会が取り組んでいる学校を支援する事業として地域学校協働活動事業というのがありますが、この事業の目的と推進組織についてお答えください。
161 ◯樋口 明委員長 富松社会教育課長。
162 ◯富松教育庁社会教育課長 事業の目的でございますが、学校と地域が連携・協働し、地域人材の協力を得て学校支援、学習支援、体験活動を実施すること、また、地域ぐるみで子供を育てる体制を整えることでございます。
事業の実施に当たりまして、推進組織といたしましては、学校支援等の活動を実施、運営するため、地域学校協働本部を設置し、その中に地域人材や学校との連絡・調整、活動の企画等を行う地域学校協働活動推進員を配置しております。
163 ◯塩川秀敏委員 結局、学校と地域が協働して地域ぐるみで子供を育てていこうと。そのために地域学校協働本部を──何かいかめしい名前ですが、それを置いて、そこに地域学校協働活動推進員というものを置いて、その取り組みを進めているということだと思います。
それでは、その地域学校協働本部は、どこにそれが設置されているのかということが一つ。そして、そこで仕事をされている地域学校協働活動推進員というのはどういう役割をしようとされているのか、御説明ください。
164 ◯富松教育庁社会教育課長 この地域学校協働本部は、県の実施要綱によりまして、原則として活動を実施する学校内に設置されております。この本部は、多様で幅広い地域住民や団体等の参画により形成された緩やかなネットワークでございまして、学校支援、学習支援、体験活動を実施することがその役割となっております。
また、地域学校協働活動推進員は、学校協働本部の中にあって地域と学校をつなぐコーディネート機能を継続的に行う中心的な役割を担っております。
165 ◯塩川秀敏委員 そうすると、学校の中にこの本部は設置されておって、そこに推進員の方がおられて、地域の学校に協力してある方々を全部把握して、学校とその方たちをつなぎながら地域で子供を育てていこうという動きだと。僕は、なかなかこれは進めていくべきことだと思っているところでございます。
そこで、この極めて重要な役割を担う地域学校協働活動推進員、今度から推進員と言います、ちょっと長いので。その推進員の方の身分、それから、勤務場所は今わかりましたから、勤務条件、いわゆる謝金とか時間とかについて伺いたいと思います。
166 ◯富松教育庁社会教育課長 地域学校協働活動推進員は、平成二十九年三月の社会教育法の改正によりまして法的に位置づけられたものとなっておりまして、教育委員会が委嘱することとなっております。
勤務条件でございますが、謝金単価はそれぞれの市町村で定めるものとなっておりますが、県では一時間当たり千四百八十円を上限として補助を行っております。費用負担の割合は、国、県、市町村、それぞれ三分の一となっております。勤務日数は、市町村によりまちまちではございますが、昨年度の実績によりますと、おおむね一日四時間・年間百日程度となっております。
167 ◯塩川秀敏委員 そうすると、その推進員の方々が今までと違ったのは、社会教育法の改正によってきちっと位置づけられて教育委員会が委嘱するようになったと。これは大きな進歩だと思います。
そこで、その推進員の方は今全部で何人いらっしゃるのか。本年度、予算が組まれていますが、何人ぐらい委嘱の予定なのか。そして、その費用負担。先ほど三分の一ずつということがございましたけれども、もう一度説明をお願いします。そして、今年度、この事業に対して県はどれぐらい予算要求しているのか、お答えください。
168 ◯富松教育庁社会教育課長 平成二十九年度、三十年度の二年間の委嘱者の実績は、延べ二十一名となっております。また、本年度の委嘱予定でございますが、九十名となっております。
それから、費用負担でございますが、市町村がこの地域学校協働活動推進員を配置し、地域学校協働活動を実施する場合、予算の範囲内で国・県におきましてその補助対象経費の三分の二以内を補助するということになっております。
今年度の地域学校協働活動事業に係る予算ですが、これにつきましては六千七百万円余を今お願いしているところでございます。
169 ◯塩川秀敏委員 次に、今まで県教委がどういう取り組みをしてきたのか、学校支援体制づくりについてということを事前に委員会のほうに資料をお願いしておりますので、そのお
取り計らいをお願いいたします。
170 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま塩川委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
171 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま塩川委員から要求がありました資料については提出できますか。
172 ◯富松教育庁社会教育課長 直ちに提出いたします。
173 ◯樋口 明委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
174 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
175 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、塩川委員、質疑を行ってください。
176 ◯塩川秀敏委員 今の資料の中で番号が打ってありますが、事業名のところに1)から5)まで打ってありますけど、1)から3)までがこの学校支援体制づくりに大きく関係するところでございますので、この資料をもとに簡単に御説明をお願いしたい。もし反省することがあれば、その反省もつけ加えてお答えいただきたいと思います。
177 ◯富松教育庁社会教育課長 資料のうち、地域が学校を支援する取り組みにつきましては、事業名の欄に1)から5)の番号を振っておりますが、そのうち1)から3)の事業となっております。
平成二十年度から三年間は1)に掲げております、ふくおか学校応援事業に取り組んでまいりました。この事業は、国からの委託が完了したことにより終了しております。その後四年間、間があいた後、平成二十七年度から二年間は2)に掲げております学校支援地域本部導入促進事業を実施いたしました。そして、平成二十九年度からは2)の事業を組みかえまして、さきに説明いたしました3)に掲げております地域学校協働活動事業を実施しているところでございます。
これらの取り組みは、いずれも教師が子供と向き合う時間を確保するとともに、地域ぐるみで子供を育成しようという一貫した目的のもとに実施してきたものでございます。その結果、平成二十七年度は九市町十三本部であった学校支援地域本部ですが、平成三十年度には十四市町村で六十三の地域学校協働本部へ広がってきております。
しかしながら、国の補助事業や委託事業等をもとに事業を行ってきた経緯もあり、途中で事業が中断したり、事業名や内容、手法が変更されてきており、一部の市町村や学校にとって事業が継続的に取り組んでいるようには見えにくかったと考えられることは反省すべきだと考えております。
178 ◯塩川秀敏委員 今ありましたように、二十年からずっと取り組まれて、今、令和元年まで来ているわけですが、その結果を見ますと、二十七年は九市十三本部、これは今で言う地域学校協働本部が設置された数でございますけれども、三十年度は十四市町村の六十三本部と。ちょっと失礼ですが、私がずっと考えますと、最低中学校単位にこれをつくっていかないと徹底しないだろうと思っているんですけれども、県下の教育委員会の関係する中学は幾つありますか。概数でいいですよ。
179 ◯富松教育庁社会教育課長 中学校の数ですが、県内に三百三十三校ございまして、この事業の対象となります中学校は、両政令市、中核市を除きますと百八十五校となっております。
180 ◯塩川秀敏委員 中核市を入れて二百ちょっと超えるぐらいですよね。今、設置されているところから見れば、まだまだ緒についたばかりであると。しかも、今まで県がやってきたことは国庫があるからとか。これは、私が知る限り国の補助がありながら途中でやめたこともあるんですよね。何か本当に、教師が子供と向き合う時間をつくることが大事だとか、あるいは地域ぐるみで子供を育てることが大事だと言いながら、教育委員会の取り組み方というのはいま一歩そういう熱意が足りないように感じるところでございます。
ところで話は変わりますけれども、今、県教育委員会が教職員の働き方改革の指針というのを出しまして、三十年三月から取り組んでおります。私もさきの本会議の一般質問で、この取り組みがうまくいくためにはこうしたらどうかという提案をしました。教育長からもやってみようというお返事をいただいたわけですので、二言はないと思いますが、どういう答えが出てくるか非常に楽しみにしているところでございます。
ところで、この学校現場の働き方改革の目指すところを簡単に説明してください。
181 ◯富松教育庁社会教育課長 学校現場の働き方改革の取り組みの目的とするところは、大きく二点ございます。一点目は、教員が健康で生き生きと仕事ができる環境を整備し、本来の業務に専念できるようにすること。二点目は、このことを通しまして教員が子供と向き合う時間を十分に確保し、学習指導、生徒指導の充実により学校教育の質を維持・向上させることであると考えております。
182 ◯塩川秀敏委員 まさにそのとおりですよね。先ほどの学校を支援する体制づくりと目的はほとんど重なりますよね。やっぱり、今、先生方にしっかりした余裕を与えて、本来の生徒指導と教科指導に専念できる環境をつくっていくということは本当に大事ではないかと思います。先ほどから、先生方のなり手が少ないとか質がどうかということでしたけれども、やっぱり現場が楽しくて充実していないと、なかなか先生になろうという人も少ないと思うんですよ。そういう意味では、しっかりこれに取り組んでいただきたい。今の国家的プロジェクトである学校現場の働き方改革を効果があるものにし、その成果を得るためにも、これにしっかり取り組んでいく必要が、私はあると思います。
そういう意味で、これを取り組むことについてどうお考えか課長の御意見を伺いたいと思います。
183 ◯富松教育庁社会教育課長 この地域学校協働活動事業は、学校が必ず行うべき業務以外の業務の一部を地域が支援することによって働き方改革につなげようとする取り組みでもあります。この取り組みが学校文化としてしっかりと根づくことで、教師が子供と向き合う時間を確保する、ひいては学力、体力、豊かな心をしっかり身につけさせることにつながるものと考えております。
184 ◯塩川秀敏委員 僕はずっとこの件で課長さんといろいろと話をさせてもらいましたけれども、やっぱり十分な取り組みがなかったと素直に反省され、そして今、この取り組み、いわゆる学校を支える体制づくりの取り組みが学校文化としてしっかり根づくと。こういう言葉は、僕は十年間質問してますけれども、学校文化としてしっかり根づくことが重要だという答弁をいただくのは、本当にありがとうございます。すばらしいと思うんですよ。ですから、ぜひその目的が達成するように、これから頑張っていただきたいと思うところでございます。
ところで、最後に副教育長に伺いたいと思います。
今、課長の答弁もありました。この取り組みが学校文化としてしっかり根づくことが、教師が子供と向き合う時間を確保し、ひいては学力、体力、豊かな心をしっかり身につけさせることにつながるものと考えております。教育委員会にはこういうすばらしい職員の方もおられるわけですよ。こういう職員の方をトップとして、しっかり仕事ができる状況をつくっていくことが非常に重要でありますし、こういう職員の方がおられること自体、福岡県の教育は望みがまだまだあると、私は思っています。
福祉の世界でこういう言葉があります。施設の職員の幸せなくして利用者の幸せなし。そこに通う職員が幸せでないと、そこに入っていらっしゃる利用者の方の幸せがないのだと。私はこれをちょっと模しまして、先生の幸せなくして生徒の幸せなしですよ。学校に通う先生が喜び勇んで学校に来て、子供はそういう姿を見て幸せを感じるのではないでしょうか。ですから、こういう現場をしっかりとつくっていただきたい。そうすると、学校現場が充実するし、いろいろな意味で非常に効果が出てくると思うところでございます。
また教育長は、鍛ほめ福岡メソッドというのを就任のときにおっしゃいました。これを学校現場が実行するに当たっても、やっぱり先生が生徒と向き合う時間が十分確保できないと、鍛えて褒めるなどということはできません。そういう意味でも、この向き合う時間をつくることが非常に大切だということはおわかりだと思います。考えれば考えるほど、この学校を支える、支援する体制づくりというものは重要であると思うところでございます。
そこで、副教育長に、この事業を県独自でもしっかり取り組む覚悟はあるのか、副教育長の所見をお聞かせください。
185 ◯樋口 明委員長 吉田副教育長。
186 ◯吉田教育庁副教育長 限られた人的資源と時間の中で子供たちの心身の成長を最大限引き上げるということが、学校の使命でございます。その使命を達成するためには、働き方改革を進め、教員が専門性を生かし、学習指導や教科指導、教材研究などなど、子供たちと向き合うための時間、いわゆる教員の本来業務というものに費やす時間を確保するということが肝要でございます。
平成二十九年度の予算特別委員会の際の委員の質問に対して城戸教育長は、児童生徒というのは本来わかりたい、あるいは伸びたいという希望を持っている。先生はその気持ちに応え、真摯な姿勢で指導を続けていく。その必要があるとともに、それを支援する教育行政でなければならないというお答えをさせていただきました。
本来、学校の教師は子供たちの成長を何よりの喜びと感じ、教員になっております。その実現のためには、行政機関の我々が日々の教育活動をしっかりと支えていく、そういう環境をつくっていくことが重要でございます。私といたしましても、そのような学校現場をつくっていきたいと思っております。
こうしたことを踏まえまして、今後、働き方改革を進めますとともに、この地域学校協働活動事業の継続にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
187 ◯塩川秀敏委員 今、しっかりとした決意を伺いましたので期待をしたいと思いますが、これは推進員を置くとすると予算が伴いまして、ざっと計算してもやっぱり七千五、六百万は要ります。現在のところ三千五百万ぐらいしか予算がついていませんので、この予算につきましては、これだけ委員会がやる気になっているんですから、知事としっかり話をしてですね。大事なことですので、予算について知事の御所見を伺いたいと思います。知事保留の取り扱いをお願いいたします。
188 ◯樋口 明委員長 ただいま塩川委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
なお、知事保留質疑は七月九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
189 ◯塩川秀敏委員 ありがとうございました。(拍手)
190 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。
堤かなめ委員。
191 ◯堤
かなめ委員 民主県政クラブ県議団の堤かなめでございます。
医療的ケアを必要とする子供への教育保障について質問いたします。
委員長、執行部に資料医療的ケアを必要とする児童生徒数等についての作成をお願いしておりますので、お
取り計らいのほどどうぞよろしくお願いいたします。
192 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま堤委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
193 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま堤委員から要求がありました資料については提出できますか。井手特別支援教育課長。
194 ◯井手教育庁特別支援教育課長 直ちに提出いたします。
195 ◯樋口 明委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
196 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
197 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、堤委員、質疑を行ってください。
198 ◯堤
かなめ委員 医学の進歩を背景といたしまして、小児集中治療室等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃瘻等を使用し、たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な子供、いわゆる医療的ケア児の数が増加しています。全国的に二〇〇六年からの十年で約二倍に増加し、現在では一万八千人を超えており、支援体制の確立が急がれています。国においては、三年前の二〇一六年に児童福祉法が改正施行され、医療的ケア児の存在が初めて法律に明記され、医療や福祉に加えて教育の面でも支援が受けられるように努めなければならないとされました。
そこでまず、県内には義務教育段階における医療的ケアを必要とする児童生徒はどのようになっているでしょうか、資料上段の1を使って御説明願います。
199 ◯井手教育庁特別支援教育課長 御説明します。
この表は、県内の義務教育段階にある医療的ケアを必要とする児童生徒数の最近四年間の推移を示したものでございます。合計を見ると二百四十五人から毎年増加しておりまして、平成三十年度は二百八十七人となっております。平成三十年度の内訳を見ますと、小中学校在籍者は十五人で、うち政令市立が五人、その他の市町村立が十人となっています。特別支援学校在籍者は二百七十二人で、うち政令市立が百十五人、県立及びその他の市立が百五十七人でございます。合計に占める割合は、小中学校在籍者が約五%、特別支援学校在籍者が約九五%で、最近四年間でこの割合に大きな変動はありません。
200 ◯堤
かなめ委員 医療的ケアを必要とする児童生徒が近年増加傾向にあり、そのほとんど、約九五%が特別支援学校に通っているということがわかりました。
では、特別支援学校においては看護職員の配置状況はどのようになっているのか、資料下段の図を使って御説明願います。
201 ◯井手教育庁特別支援教育課長 資料下のグラフについて説明いたします。
この資料は、県教育委員会が行っております医療的ケア体制整備事業で対象となっている児童生徒等の数と配置している看護職員数の推移を示したものでございます。平成十九年度の事業開始時点では、対象者は三十二人、看護師は十三人でございましたけれども、いずれも増加しておりまして、今年度は対象者八十九人、看護師は四十二人となっております。
202 ◯堤
かなめ委員 医療的ケア児の増加に合わせて看護職員も増員されてきたということですね。
先日、私も実際に、ある県立特別支援学校を訪問させていただき、とても丁寧な心のこもった医療的ケアが行われているという感想を持ちました。子供たちは、医療的ケアを受けながら安心して楽しそうに学んでいる様子で、学校関係者の皆様の御努力に感銘を受けたところです。
では次に、市町村立の小中学校の状況についてお聞きしたいと思います。
医療的ケアを必要とする子供たちの中には、歩いたり活発に歩き回ったりすることが可能な子供たちから寝たきりの重症心身障がい児までさまざまです。中には、自宅から通いやすい地域の小中学校に通うことを選ぶ場合もあるかと思いますが、県内の小中学校では医療的ケアを担う看護職員がきちんと配置されているのかお聞きいたします。
203 ◯井手教育庁特別支援教育課長 小中学校におきましては、平成三十年度は看護師は配置されていないという状況でございます。今年度は、政令市を除きますと少なくとも二つの市で二人の対象者に看護師三人が配置されております。
204 ◯堤
かなめ委員 今年度の医療的ケアを必要とする児童生徒の数はデータがないということだったのですけれども、これまでの推移からその他の市町村立には十人前後の子供がいることが推察されます。このような状況で三人の看護師の配置で十分なのか懸念せざるを得ません。
文部科学省が設置した学校における医療的ケアの実施に関する検討会議が本年二月二十八日に公表いたしました最終まとめには、近年では児童生徒に必要とされる医療的ケアの内容はより熟練を要し、複雑化している状況にあることから、教育委員会においては看護職員等を十分に確保し、継続して安定的に勤務できる体制を整備するとともに、各学校に医療的ケア児の状態に応じた看護職員等の適切な配置を行うことが必要と記されています。
そこで、地域の小中学校においても看護職員の適切な配置は重要と考えますが、小中学校の医療的ケアの看護職員の配置について、県教委はどのような取り組みをしているのかお聞かせください。
205 ◯井手教育庁特別支援教育課長 県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会に対しまして、看護職員の配置について対象経費の三分の一以内を国が補助し、あわせて地方交付税措置がなされる制度の活用を働きかけております。
また、県教育委員会でこれまで取り組んできました医療的ケア体制整備事業で蓄積したさまざまなノウハウをもとに、市町村教育委員会に指導・助言を行っているところでございます。
206 ◯堤
かなめ委員 県教委による市町村への働きかけについては、よくわかりました。
ある研究論文は、医療的ケアを必要とする児童とともに学校生活を送ることは、児童の対人的な援助をしようとする思いやりの心を育み、さらにその思いやりを自発的な行動に移すことを体験的に学んでいる可能性を示唆しています。引き続き、特別支援学校だけでなく地域の小中学校においても、医療的ケアに携わる看護職員を配置し、医療的ケアの子供たちの可能性を最大限発揮できるよう、しっかり教育保障していただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
また、看護職員を配置している小中学がある近隣の市町村に越境して通えるようにするなど、広域的対応についても検討していただきますよう、要望しておきます。